

屈折異常
眼瞼(まぶた)
結膜
角膜
水晶体
網膜・硝子体
その他




1 ドライアイとは
ドライアイとは、涙の分泌量の減少や、涙の量は正常でも涙の質が低下することで涙が蒸発しやすくなることで、目が乾燥し、角膜や結膜が障害されてしまう状態をいい、眼不快感や視機能異常を伴います。日本では約800万人以上の患者様が存在するといわれおり、年々増加傾向にあります。
2 症状
目の乾燥感や、ゴロゴロ感、痛み、まぶしさ等、様々な目の不快感が生じます。以下の12項目のうち、5項目以上が該当する場合は、ドライアイの可能性があります。また、10秒間瞬きをせずに目を開けていることができない方もドライアイの可能性があります。
- 目が疲れやすい
- 目が乾いた感じがする
- ものがかすんで見える
- 目に不快感がある
- 目が痛い
- 目が赤くなる
- 目が重たい感じがする
- 理由もなく涙が出る
- 目がかゆい
- 光をまぶしく感じする
- 目がゴロゴロする
- めやにがでる
3 原因
(1)涙液量の異常(涙液減少型ドライアイ)
乾燥や刺激があると、反射的に涙が分泌され、そのことで眼の表面を潤し、眼の表面が障害さないようにします。涙液減少型ドライアイでは、眼の刺激がうまく神経伝達されず、また神経伝達されても涙の分泌が正常に行われず、涙が十分に分泌されないことで眼の表面に障害を生じます。シェーグレン症候群と、それ以外に分類されます。
(2)涙の質の異常(蒸発亢進型ドライアイ)
- ・マイボー無線機能不全
- 涙液は涙液層を形成し眼の表面を保護しています。涙液層は、水/ムチン層、油層に分かれ、油層は涙液の蒸発を防ぐ働きがあります。油層は、瞼(まぶた)の中のマイボーム腺から分泌されますので、マイボーム腺に異常があると脂質が十分に分泌されず、涙が蒸発しやすくなります。
- ・VDT(Visual Display Terminal)症候群
- パソコン等の画面を長時間、集中してみることで、瞬きの回数が減少し涙が蒸発しやすくなります。
- ・乾燥した環境
- 乾燥した環境では涙液が蒸発しやすくなります。乾燥する冬ではドライアイを自覚する人が多くなります。
- ・コンタクトレンズ
- コンタクトレンズ装着者では、コンタクトレンズの周囲に涙が奪われるなどにより眼が乾燥します。また、乾燥に対する知覚低下により瞬きが不完全になること等が指摘されています。
- ・結膜弛緩症
- 加齢により結膜が弛み、眼球と下眼瞼の間に本来たまる涙の場所を占拠することで、涙がたまりにくくなります。
- ・その他
- 加齢により、涙の分泌量や質が低下します。たばこの煙に暴露されることで、涙の状態が悪くなります。降圧剤や向精神薬などの抗コリン作用を有する薬剤では、涙の分泌が減少することがあります。
4 検査
(1)シルマー試験
シルマー試験紙を眼瞼縁にはさみ、5分間でどの程度濡れるかを調べます。この検査により涙の分泌量を測定することができます。
(2)細隙顕微鏡検査
細隙顕微鏡を使用し、フルオレセインという蛍光色素を用いて目の涙の量を見ることできます。また、角結膜の傷の状態を確認することができます。さらに、涙液層破壊時間(BUT)を測定することで、角膜表面にとどまりやすい涙か、そうでない涙かといった涙の質を評価することができます。
5 ドライアイの治療
(1)点眼薬
目の潤いを維持することを目的に、人工涙液、ヒアルロン酸ナトリウムの点眼を行います。また、ムチンや水分の分泌を促進する点眼薬が用いられます。
(2)涙点プラグ
涙の出口である涙点に栓(涙点プラグ)をして、涙の排出を抑える治療です。点眼で目の状態が改善しない重症のドライアイの患者様に使用します。
(3)環境改善
パソコンなどを長時間行うと、瞬きの回数が減ることからドライアイ症状を悪化させますので、適宜休憩をとることが必要です。また、パソコンなどの画面は目の位置より下方に置くようにしましょう。加湿器や濡れたタオルを干すなど部屋の湿度を適度に保つことも効果的です。
さらに、市販のドライアイ専用眼鏡の使用や眼鏡の周りに覆いを付けることも目の周りの湿度を上げるのに有効です。目を温めることも目の疲れをとることに効果があるといわれています。コンタクトレンズを使用している方は、装用時間を短くし、コンタクトレンズを常に清潔に保つことが大切です。

